学生時代を海外で過ごし、帰国後2007年に「梶谷農園」を継いだ梶谷譲さん。その時に掲げた目標は、三ツ星レストランと取引する農家になること。その思いが形となり、現在ミシュラン掲載店を含め取引先は約150軒に。「農業の地味なイメージを変えたかった」と語る梶谷さんの、農業への姿勢や思いを伺いました。
これ、すごくかわいいでしょ? 小さくて形が愛らしい、お皿の上でパッと目を引くようなハーブを常時50種類ほど育てています。おいしさの物差しって人それぞれ。だから、酸っぱい、苦い、辛いなど、味の“分かりやすさ”に重きを置き、品種を選んでいます。それから、料理人からのミリ単位の注文にも応えるため、3日おきに種を蒔き、生育具合の異なるハーブを栽培、収穫。世界中の名店を食べ歩いては、新たな食材や食べ方をリサーチし、畑のその先、お皿の上をイメージできるよう情報を蓄えています。
うちのハーブはサイズが小さいため、どうしても栄養が切れて、色が悪くなることがあります。そんなとき、梶岡牧場のヒューマスを適宜土に混ぜることで、色や発育もみるみる復活。使い始めて約3年経ちますが、今では生育状況はもちろん、色や香りに安定性が増しましたね。そうやって丹精込めて育てたハーブを卸す先は、すべて自分で直接交渉しています。取引の決め手は、料理を楽しみ、努力を怠らない人か否か。だからこそ私も、取引先に敬意を払い、今後もあらゆる要望に全力で応えていくつもりです。
「梶谷農園」2代目園主。広島県三原市の高原にてハーブ農園を構える。現在の取引先は約150軒、待機リストは倍の300軒。一歩先行く姿は、まさしくスーパースターファーマー。